田中クリニック院内報

はじめに
みなさん、こんにちは、院長の田中です。お祭りも過ぎ、急に肌寒くなってきました。
インフルエンザの予防接種も始まり、冬が近くまで来ているといった感じです。11月は秋の最後の月ですが、秋といえばスポーツの秋とか食欲の秋とか、いろんなことに適した季節ともいえます。食事の栄養バランスがくずれると、体調もくずして病気につながることもあります。
今回の院内報では貧血を取り上げます。鉄分が少ないと貧血になるという知識はもっておられると思います。もう少し詳しく解説をしてみましたので、参考にしていただければ幸いです。
特集:この病気は何ですか?
 
第 8 回 【 貧血 】

1. 貧血とは?
体の隅々まで酸素を運ぶために必要なのが血液中の赤血球。赤血球の中のヘモグロビンが酸素を取り込んで体の隅々まで酸素を行き渡らせているのです。
この赤血球や赤血球中のヘモグロビンが不足して、酸素を十分に体内に行き渡らせることができなくなってしまった状態を貧血と言います。

2. 貧血ではどんな症状がでますか?
貧血というと、たちくらみやめまいをまず思い浮かべるかもしれません。しかしこれらの症状は血圧が低くても起こりますし、多いわけではありません。下記のうち1番から5番までが重要です。
1. 休まないと5分以上歩けない
2. 運動するのがつらい
3. 顔色が悪いと人に言われる
4. 夜間に尿が多くなった
5. 唇の隅が切れる
6. なんとなくだるい
7. 動悸がする
8. たちくらみがある
9. 朝起きにくい

3. 貧血の原因はなんですか?
原因を大きく分類すると
1. 赤血球産生低下 2. 赤血球の破壊亢進 3. 失血(出血)
の3つにわけることができます。

  1. 赤血球産生低下:赤血球は骨髄で作られるので、骨髄の異常(再生不良性貧血など)や産生に必要な鉄やビタミンB12などの欠乏によるものが相当します。
  2. 赤血球の破壊亢進:免疫の異常や先天性の病気で溶血がおこるものがあります。外因性としては、激しい運動をしたあと、薬剤の影響、感染症に伴って破壊が生じることがあります。
  3. 失血:外傷による出血をはじめ、胃潰瘍の出血などあらゆる出血で、量が多いと貧血になります。

4. 貧血の分類
貧血は赤血球の容積で小球性、正球性、大球性の3つに分類されます
1)小球性:ほとんどが鉄欠乏性貧血です
2)正球性:再生不良性貧血、白血病、溶血性貧血、癌や慢性炎症に伴う二次性貧血など
3)大球性:悪性貧血(ビタミンB12欠乏性)

5. 貧血の診断の進め方
貧血は血球算定検査をすればすぐにわかります。同時に容積による分類もできますので、ある程度原因をしぼることができます。同時に血清鉄や貯蔵鉄をチェックすれば、鉄の利用状態がわかります。
鉄欠乏性貧血では、血清鉄も貯蔵鉄も減少しますが、慢性疾患に伴う貧血では貯蔵鉄が増えることが多く、鑑別になります。高齢者の血清鉄低下では消化器癌が原因の場合が比較的多いので注意が必要です。

6. 貧血の原因として出血が疑われる場合とは?
女性の場合、月経量が多くて貧血を来たす人に、子宮筋腫が多いので婦人科を受診してもらう場合があります。大腸癌で出血している場合、大量でなければ自覚症状としてわかりません。
便秘のある人には便の潜血反応を検査して、陽性なら大腸検査します。黒っぽい便が出る場合は出血が疑われます。痔からの出血も頻度が多ければ貧血をきたします。

7. 慢性疾患に伴う貧血とは
特に高齢者では慢性疾患が貧血につながります。感染、炎症、癌、などでは、骨髄で鉄の利用が悪くなり、赤血球産生が抑制されるのです。
この貧血は急に発症しないため症状として認めることはまれです。基礎疾患を改善させないと貧血もよくなりません。

8. 鉄欠乏性貧血の治療
鉄分を多く含む食事をとることも必要ですが、単独ではその効果は乏しいものです。
やはり鉄剤を服用するのがよいでしょう。内服困難な場合は注射剤もあります。鉄剤はむかつきなどの消化器症状が副作用としてあります。
貧血が改善すれば、鉄剤をやめ、食事療法をしてもらいますが、それでも女性の場合は再発しやすいです。毎日ではなく週に1ないし2錠内服する方法があります。

9. 鉄分を多く含む食材とは
レバー、赤身の肉、魚肉(おさしみ)、海藻類(のり、ひじき)、シジミ、ほうれんそう

 

 

●さいごに...●

貧血はポピュラーな病気ですがあなどれません。
背景に癌などの大病が原因のことがあります。
慢性にゆっくり進行する貧血は、自覚症状でわかり
にくいので、採血をすればすぐ診断がつきますので、
定期健康診断はぜひ受けましょう。

 

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