内科・呼吸器科:田中クリニック 集中治療室
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  集中治療室  
今月の医療特集
●7月の特集は『癌の緩和医療』です。

前回は2回のシリーズで肺癌を取り上げましたが、我々医療者にとって避けて通れない問題として、癌患者が訴える苦痛をいかに緩和するかということがあります。
癌に伴う苦痛は、最近では告知されている症例も多いことから、死に直結してとらえられやすく精神的負担がかなり強いと言えます。終末期では、いかに患者さんが苦痛なく残された時間を過ごせるかが重要な課題となってきます。
クリニックでは肺癌患者さんを多数みており、疼痛コントロールなどの治療にも取り組んでおりますので、この特集で参考にして頂ければ幸いです。

1. 緩和医療の目的は?
癌の患者さんにとって、できる限り苦痛がなく、社会生活を営めるよう、そしてできるだけ精神的に安定した状態で過ごせるよう医療を提供することが目的です。
苦痛のために仕事や家事ができない、以前楽しめたことができない、入院せざるを得ないなど患者さんにとって生活の質がかなり低下するのです。この生活の質を低下させないような医療が緩和医療の本質です。
 
2. 末期がん患者さんの症状にはどのようなものがありますか?
頻度の多いものから挙げると...
1.倦怠感
2.食欲不振
3.疼痛
4.便秘
5.不眠
6.呼吸困難
7むかつき・嘔吐

これらは同時に認められることも多く、できる限り訴えている症状を緩和できるような治療が行なわれます。
 
3. 疼痛コントロールはどのようにしますか?
軽い疼痛に対しては、一般的な鎮痛剤で対処しますが、効かないまたは痛みがかなり強い時には麻薬を使用します。麻薬には注射、坐薬、内服、貼り薬があり、状況に応じて使い分けしてます。
定期的に内服することで、痛みの緩和を行いながら痛みの強い時に緊急的に即効性の鎮痛作用のある麻薬を使うことが一般的です。
 
4. 麻薬の副作用について、また麻薬中毒の心配はありませんか?
特に問題となるのは嘔気である。初回投与時に認められやすく、慣れてくれば軽減してくるが、それまでは制吐剤を併用することが多い。また便秘も頻度が高く、下剤を併用する。
麻薬中毒については、急に大量の麻薬が体内に入るわけではなく、徐々に増量していくのであれば、長期間内服することになっても中毒の心配はありません。
 
5. 疼痛に対する放射線療法について
癌が病巣局所において痛みを起こしている場合、それが原発巣であっても転移巣であっても、放射線療法によって痛みを軽減できる可能性があります。
照射の条件として、痛みの原因となっている部位や範囲が画像所見で明らかになっていること、照射に耐えうる全身状態であることが重要です。
標準的には2週間の照射で、効果は1週間後ころより認められます。全身状態が悪くなければ通院で可能です。
 
6. 疼痛に対する神経ブロックについて

神経ブロックはペインクリニックを専門とする主に麻酔科医によって施行される手技である。よく行なわれるブロックに硬膜外ブロックがある。これは局所麻酔剤を使って脊髄神経をブロックする方法です。
ただし効果は短く癌の痛みは持続するため、最終的にはカテーテルを硬膜外腔に挿入留置して、持続的に局所麻酔剤を注入する方法がとられる。

 
7. 抑うつに対する治療について
最近では告知されるケースが多いため、疼痛などの病状の進行により抑うつが生じやすく、その苦悩が強くなれば自殺に結びつくこともありえる。まず苦痛症状を薬物などでできるだけ緩和させることが肝心である。治療は精神療法と抗うつ薬による薬物療法があります。
精神療法は患者をよく理解して良好な関係を築きながら、コミュニケーションを通して精神的苦痛を軽減させる治療です。
内科では抗うつ薬で治療することが主となるが、専門医への紹介するケースもあります。
 
8. ホスピス・緩和ケアの基本的な考え方
(全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会)

ホスピス・緩和ケアは、治癒不可能な疾患の終末期にある患者および家族のクォリティーオブライフ(QOL)の向上のために、さまざまな専門家が協力して作ったチームによって行われるケアを意味する。
そのケアは、患者と家族が可能な限り人間らしく快適な生活を送れるように提供される。ケアの要件は、以下の5項目である。

1. 人が生きることを尊重し、誰にも例外なく訪れる「死への過程」に敬意をはらう。
2. 死を早めることも死を遅らせることもしない。
3. 痛みやその他の不快な身体症状を緩和する。
4. 精神的・社会的な援助を行い、患者に死が訪れるまで、生きていることに意味を見出せるようなケア(霊的ケア)を行う。
5. 家族が困難を抱えて、それに対処しようとするとき、患者の療養中から死別したあとまで家族を支える。

 
さいごに...
癌の診療をしている医師でも緩和医療は可能であるが、薬物療法が主であり、患者の意思を尊重して、精神的な援助も含めて専門的にケアを求めるのであれば、ホスピスも選択されることになります。
ただ、まだ数も少なく、十分受け入れができない施設もあるのが現状です。少なくとも身体的な苦痛が緩和されないと、精神的な苦痛の対応はできません。
疼痛などは主治医の先生とよく相談してできるだけ緩和してもらいましょう。
 
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