診察室

今月の医療特集【ノロウィルス】

みなさん、新年明けましておめでとうございます。昨年はお世話になりましてありがとうございました。今年もよろしくお願い致します。力になれることがありましたら、なんなりとご相談ください。
さて先月は寒さもそれほど厳しくはなく、インフルエンザもまだみられませんでした。その一方でウイルス性胃腸炎が大流行。なかでもノロウイルスが大きく取り上げられていました。
このウイルスは珍しいことはなく、例年よりかなり発症が多くなっています。そして一般家庭でも生じうる感染症なのです。正月早々もちを食べ過ぎたり、おせちやお酒で胃腸が弱り目でしょうが、ノロウイルスにもご注意ください。

また、「この病気を取り上げてほしい!」といったご要望も受け付けておりますので、ご意見をぜひお寄せくださいね。

●1月の特集…《ノロウイルス》について

1月の特集【ノロウイルス】ノロウイルスとは
冬季を中心に年間を通して胃腸炎を起こし、食中毒原因の1位を占めるウイルスです。

ノロウイルス胃腸炎とは
潜伏期間は24〜48時間で、症状は嘔吐、下痢、腹痛などで、健康な人は軽症で回復しますが、子供やお年寄りでは重症化することがあり、死に至るケースもみられます。感染しても全員が発症するわけではありません。風邪のような症状で終わる人もいます。

 

感染経路
ほとんどが経口感染で、以下のような感染経路があります。

1. 汚染された貝類(特に牡蠣)を生または十分加熱調理しないで食べた場合
2. 食品取り扱い者が感染しており、その者を介して汚染した食品を食べた場合
3. 患者の糞便や吐物から二次感染した場合〜直接触ることで感染するものと、空気感染がある。後者は排泄物が乾燥してウイルスが空気中に漂い感染するというもの。

原因がノロウイルスと診断するには?
ウイルスを特定しなければ診断できません。従って排泄物を用いてウイルスの遺伝子を検出する方法が一般に行われています。糞便の方が大量のウイルスを排泄するので検体として適します。検査の保険適応はなく自費で12,000円かかります。

発症した場合の治療法
このウイルスに効く抗ウイルス剤はありません。通常対症療法が行われており、十分な水分補給で脱水にならないようにします。下痢止め薬は、腸管内にウイルスが長くとどまることになり、病気の回復が遅れることがあるので使用しない方がよいでしょう。整腸剤なら大丈夫です。

予防対策
患者の排泄物には大量のウイルスが含まれています。

  1. 食事の前やトイレの後は必ず手を洗いましょう
  2. 下痢や嘔吐の症状がある方は、食品を直接取り扱わないようにしましょう。
  3. 胃腸炎患者に接する方は、患者の排泄物を適切に処理して感染を広げないようにしましょう。
※子供やお年寄りなど抵抗力の弱い方は、食品をしっかり加熱してから食べましょう。

死亡例について
死亡例のほとんどは高齢者です。寝たきりであったり、介護を必要とする方に多く、脱水が引き金になったり、吐物をのどに詰まらせたり、むせて肺炎になったりしたことで死に至るケースが報告されています。

患者のふん便や吐物などの処理方法上の注意点

  1. 汚物の処理には家庭用の塩素系漂白剤を活用する。便や吐物には10倍、汚れた衣類には50倍、トイレの床や便座、ドアノブ、蛇口などは250倍に薄めて使えばよい。
  2. おむつや吐物をふき取った紙類は、二重のポリ袋に密閉して捨てる。内側と外側の袋は縛る口を上下互い違いにすること。
  3. 乾燥すると容易に空中に漂い、口に入って感染するので、乾燥しないうちにふき取るなどの処理を行う。処理した後はウイルスが屋外に出ていくように空気の流れに注意しながら十分に換気を行う。

症状がなくなれば、感染することはないのですか?
ウイルスは症状が消失したあとも3〜7日間ほど患者の便中に排出されるために、二次感染の可能性がありますので注意が必要です。

原因のひとつとされる牡蠣を調理する時の注意点
ウイルスは牡蠣の内臓に存在するので、表面を洗うだけでは除去できません。
また牡蠣を殻から出すときあるいは洗う時にまな板などの調理器具を汚染することがあるので、専用の調理器具を用いるか、牡蠣の処理に使用したまな板などはよく水洗いあるいは熱湯消毒を行ってから、他の調理に使用することで二次感染を防止できます。
さらに、牡蠣を調理した後は手指をよく洗浄、消毒してください。

最後に...

ノロウイルスによる食中毒や胃腸炎は、集団発生や死亡例が出るとクローズ
アップされますが、一般家庭でも発症しうる身近な感染症なのです。
今年は例年より患者数が多いのですが、牡蠣が原因のケ ースは少ないようで
す。牡蠣業者は悲鳴をあげてますが、十分加熱すれば大丈夫です。またこれ
から流行するインフルエンザの予防のためにも手洗いを心がけましょう。