
みなさん、こんにちは、院長の田中です。
今年は梅雨が短く、暑い夏が長いと聞いていますが、すでに暑さにばてている患者さんもおります。汗をよくかく季節になってきましたので、脱水にならないように水分は十分補給しましょう。今月の医療特集は、3年前に一度取り上げた「こむら返り」です。3年たった現在でも前回のこむら返りのアクセスが多いため、関心の高さが想定されましたので、取り上げることにしました。
前回は診断が中心で治療や予防については触れませんでしたので、今回は復習しながら治療にスポットを当ててみました。参考にしていただければ幸いです。
また、「この病気を取り上げてほしい!」といったご要望も受け付けておりますので、ご意見をぜひお寄せくださいね。
■こむら返りとは
「こむら」とはふくらはぎのことで、こむら返りは、ふくらはぎの筋肉がけいれんを起こして、つっている状態を言います。朝方寝床の中で何気なく伸びをしたときにおこることが多いようです。けいれんの持続時間は数秒間から数分程度です。多くは病気と関係なく起こりますが、起こしうる基礎疾患については前回を参照ください。
■こむら返りの原因
・筋肉の疲労(激しい運動後)
・水分不足(脱水)
・水泳などで冷たい水に長く浸かったとき
・マグネシウム、ビタミンE不足
・アルコールの飲みすぎ
・妊娠後期(骨盤のゆるみによる)
■副作用でこむら返りが起こる薬とは
1. 高血圧・狭心症治療薬
塩酸カルテオロール(商品名:ミケラン)、塩酸セリプロロール(商品名:セレクトール)、ピンドロール(商品名:カルビスケン)、塩酸ジルチアゼパム(商品名:ヘルベッサー) 、フェロジピン(商品名:スプレンジール)
2. 抗甲状腺剤
チアマゾール(商品名:メルカゾール)
3. 高脂血症治療薬
プラバスタチン(商品名:メバロチン)
■こむら返りが起きたときの対処法
1. 片手でけいれんしている足の膝をおさえる→もう一方の手で、足の指を上向きにゆっくり曲げるとよい
2. 水泳中の場合:つっていない方の足で片足立ちし、つったほうの膝を曲げ、つま先をつかんでふくらはぎを伸ばす
3. 寝ている時:寝た姿勢のまま足の裏で壁や床を強く押してみるとよい
4. 周囲に人がいる場合は、足の裏側から押してもらう
■発作がおさまっても痛みが続くときは?
発作がおさまっても痛みが続いたり、筋肉が硬くなっているように感じられます。この場合は、局所を温めながらマッサージをすると楽になります。漢方薬で緩和することもできます(後述)。
■こむら返りの予防法
- こむら返りの予防は、筋肉を疲労させないことが重要です。筋肉が疲れてきたら、マッサージなどで疲労をとりましょう。スポーツの前には、筋肉のストレッチを行ってください。
- 神経の伝導には電解質(イオン)を使うので、スポーツドリンクなどで、運動前にしっかり補充しておきましょう。
- ミネラル特にマグネシウム不足も原因となりますので、多く含まれる食品(干しワカメ、かぼちゃ、アーモンド、ひじき、しらす、なまこなど)を摂取しましょう。
- 就寝前の予防対策:足が冷えるとよくないので、就寝前に入浴をすると血液循環がよくなります。また、ふくらはぎのマッサージやストレッチをするといいでしょう。
- 夜間発生する原因として、布団の重みで膝が伸び、足が下向きになって、その状態でふくらはぎの筋肉が緊張してこむら返りが起こりやすくなります。その対策としては、軽い布団に変えたり、膝の下に枕を入れて少し膝を曲げて眠るように工夫するのがいいでしょう。
- 妊婦さんの予防法〜妊娠中は下半身の血行が悪くなりやすく、胎児によって骨盤が広げられゆるみます。このことがこむら返りの原因と考えられており、腹帯などで歪んだ骨盤を調整することで予防できます。
■こむら返りに効く薬は?
こむら返りのための薬といってもよい漢方薬があります。芍薬甘草湯です。寝る前や運動をする前に服用しておけば、こむら返りの予防になりますし、起こったあと内服すれば10分ほどで痛みが楽になってきますので、おさまった後も痛みが長引くときには効果が得られます。
■最近経験した症例
60歳代の男性で高血圧にて通院中。こむら返りの相談あり。両下腿に静脈瘤があり、手術を要する状態であったため、外科へ紹介した。手術後まったくこむら返りを認めなくなり、静脈瘤による血流低下が原因と考えられた。
■整形外科疾患で多い腰脊柱管狭窄症
症状は、腰痛、臀部痛、下肢痛、しびれなどであり、進行すれば痛みのために歩けなくなります。MRI検査で診断がつきます。
こむら返りの心配な方で、前述の症状があるようなら、整形外科を受診してください。
最後に...
こむら返りは誰しもが一度は経験しているのではないでしょうか?
ただし、頻繁におこる場合は何か病気が原因の場合がありますので、
医師に相談しましょう。
内科なら神経内科、あるいは整形外科で診察を受けてください。
