
みなさん、こんにちは、院長の田中です。
とにかく暑い日が続いております。受診される患者さんのなかには汗だくになって来院される方がいます。クーラーがきいたクリニック内にいると、気温のことがよくわかりませんが、患者さんの様子や話でわかります。夏本番ですので、食中毒、熱中症、夏バテなどにご注意ください。
今回の医療特集は【しびれ】をとりあげました。
正座でしびれることはみなさん経験されますが、しびれるというと、脳神経の異常?ということで心配される方が多いと思います。原因にはいろいろありますので参考にしていただければ幸いです。
また、「この病気を取り上げてほしい!」といったご要望も受け付けておりますので、ご意見をぜひお寄せくださいね。
■しびれとは?
しびれとは感覚の異常によって起こります。皮膚や筋肉が刺激を受けると、その刺激情報が末梢神経を通って、脊髄に伝わり、さらに脳へと伝えられます。
しびれは刺激が伝わる経路である「末梢神経」「脊髄」「脳」のどこかで障害されて生じます。この障害によって異常な刺激が脳に送られ、しびれを感じるのです。また血管の一部が血流障害をきたすとしびれが起こります。
■しびれの原因別分類
1. 末梢神経障害〜末梢神経に何らかの障害が起きてしびれが生じます。
- 単一の神経障害
代表的な病気に「手根管症候群」があります。手首には神経が通る手根管という隙間があり、そこが狭くなって神経が圧迫されると手のしびれや握力の低下が生じます。 - 多発的神経障害
糖尿病、尿毒症、栄養障害(ビタミンB不足)、膠原病、帯状疱疹など。
2. 脊椎・脊髄の病気
頚椎症・腰椎症〜脊椎の骨が変形して神経が刺激される病気。
椎間板ヘルニア〜脊椎と脊椎の間にある椎間板が何らかの原因で飛び出して神経を圧迫します。頚椎が原因のときは、片側の腰から手指にかけて、腰椎が原因のときは、片側の腰から足の裏側にかけてしびれが起こります。
3. 脳の病気
脳卒中〜脳出血や脳梗塞では、体の片側に突然しびれがおこることがあります。
脳腫瘍〜徐々にしびれが強くなります。
4. 血行障害
バージャー病〜手足などの末梢の細い動脈が動脈硬化をきたす病気、喫煙者がほとんどです。
閉塞性動脈硬化症〜動脈硬化で、全身どこでも血管が狭くなって起こる病気。
レイノー症候群〜膠原病などが原因で、血管が収縮して血行が障害されます。
正座によるもの〜正座により、一時的に足の血流が障害されたり、神経が圧迫されて起こります。
■受診すべきしびれとは? 何科を受診したらいい?
正座の後のしびれや、筋肉疲労後のしびれなどは、時間経過とともにしびれは消えます。
しびれがどんどんひどくなったり、しびれに伴って他の症状が現れる場合は何らかの病気が原因です。
- 神経内科または脳外科受診が必要なしびれとは?
半身のマヒや言語障害が現れたら、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害を考えます。
突然症状がおこることが多く、受診も緊急を要します。 - 整形外科受診が必要なしびれとは?
首から肩や腕にしびれがあり、首の痛みを伴う場合、腰から足にかけてしびれがあり、腰痛がある時。 - 内科受診が必要なしびれとは?
もともと糖尿病や慢性腎不全がある人でしびれてきたとき。
手足が白くなったり冷たくなる場合。
■しびれの診断方法
・問診:しびれの場所、経過、合併症状、基礎疾患の有無を聞きます。
・診察:神経学的に知覚障害や運動障害を調べます。腱反射も参考になります。
・画像:脳ならCT・MRI、脊椎なら単純写真・MRI。
・採血:基礎疾患に糖尿病、腎不全、膠原病が疑われるときに行います。
■しびれの日常生活上対処法
- 原因がはっきりしている場合は、その治療が最優先されます。医療機関を受診して治療について相談してください。
- 冷えを伴う場合は、血行をよくすることが大切です。体を冷やさないようにしたり、運動を適度に行い、血行をよくしましょう。
- 食生活では、バランスのとれた食事を心掛け、ビタミン不足を防ぎます。
- 頚椎や腰椎の病気は、無理な姿勢や動作で起こったり悪化します。中腰での作業や、首を後ろに反らす姿勢を長時間続ける、急に立ち上がるなどの動作は脊椎に負担をかけますので、避けるようにしてください。
■最近経験したしびれの症例紹介
70歳の男性で、足のしびれが20年前からあり、大学病院まで受診したが原因がわからず、様子をみていた。クリニックには高血圧で受診されるようになり相談を受けた。きちんと診察もせず、まず神経内科を紹介したが、原因はよくわからず大きな病院へ紹介すると言われた。そこで問診をしたところ、歩くと余計にしびれるというので、血行障害を考え、大腿部、ひざの裏、足の甲で動脈の触れぐあいをみたところ、明らかに脈が触れにくく、閉塞性動脈硬化症を疑って、県立病院心臓血管外科へ紹介。同じ診断にて、バイパス手術を受け症状は改善した。この症例を通じて足の脈をとる重要性を感じたものである。
最後に...
今回はしびれをきたす疾患の詳細は省略し、診断の進め方を中心に
書きました。治療は疾患ごとに異なるため、かかりつけ医にご相談
ください。しびれの中には、早期に対処したほうがよい場合もあり、
たいしたことではないとか、年のせいにせずに受診しましょう。
私は専門ではないので紹介することになりますが、何科の疾患が疑
われるかの鑑別はある程度できると思います。
気がかりな人はご相談ください。
引用:NHK「今日の健康2004年10月号」しびれの特集記事
