
みなさん、こんにちは、院長の田中です。
この原稿を書いている1月下旬は寒くて、雪が降ってます。12月に流行していたインフルエンザが落ち着きをみせていたのですが、これから寒さとともにまた流行するかもしれません。手洗い、うがい、マスクなどでしっかり予防してください。
今回の特集は肋間神経痛を取り上げます。胸が痛くて受診されて、検査をしても原因がよくわからないときに、つけられることが多いドクターにとって都合のよい病名ではあるのですが、簡単な検査ではわからないこともありますので、今回の勉強で軽く考えてはいけないと反省させられました。
今後の診療に生かしたいと思っております。参考にしていただければ幸いです。
また、「この病気を取り上げてほしい!」といったご要望も受け付けておりますので、ご意見をぜひお寄せくださいね。
■肋間神経痛とは
肋間神経とは、胸髄(背骨の中を通る脊髄)から出て、12対の肋骨に沿って走行する神経です。
この神経が何らかの原因で障害されて生じる突発性の痛みを言います。
■肋間神経痛の原因は?
- 脊髄神経が圧迫を受けて痛みの原因となります。圧迫を起こすのは腫瘍、椎間板ヘルニア、脱臼、骨折、などがあります。肋間神経が背骨の間から出てくるところで障害を受けても痛みが生じます。
- 側湾症が原因となります。背骨が横へ曲がっているために、肋骨にアンバランスが生じて神経を圧迫し、痛みが出る原因となります。
- 激しい咳が続いたら、肋骨に亀裂が入ったり、骨折のために神経痛がでます。中年以降の女性は骨祖しょう症のために骨がもろく、咳や弱い外力でも肋骨骨折することがあります。
- 帯状疱疹ウイルスの感染の後遺症としておこるもので、肋骨に沿って水泡ができて、後に持続性の激痛が起こり、治りにくい傾向があります。水泡が出現する前に胸痛が見られる場合があり、あとで水泡が出ないか注意が必要です。
- 内臓疾患由来の関連痛〜肋骨に覆われた臓器には、心臓・肺・胃・肝臓・すい臓などがあります。これらには自律神経が背骨から走行しています。内臓の異常は神経を伝わって背骨の筋肉に影響を与えることが言われています。
■肋間神経痛の特徴
痛みは通常片側で、肋骨の走行に沿って帯状に走る痛みが特徴です。その痛みはかなり強く、深呼吸や咳、ちょっとした体位の変化でも増強することがあります。
■肋間神経痛と鑑別を要する胸痛
狭心症:胸痛の持続時間は通常10分以内です。胸の真ん中がしめつけられる様な痛みです。ニトログリセリンの舌下がよく効きます。心電図検査で診断できます。
胸膜炎:肺に水がたまる病気で、結核や癌が原因となります。水の溜まり始めに胸痛が出現します。レントゲンを撮れば診断できます。
■何科を受診すればよいのですか?また、どのように診断しますか?
典型的な肋骨に沿った痛みであればまず肋間神経痛を疑うので整形外科を受診しましょう。
背骨の異常を診断するために胸椎の単純レントゲン、CT、MRIなどの画像診断が行われます。
痛みが激痛のときは痛みの範囲が広くなり鑑別が必要になります。胸痛の原因にはいろいろありますので、まず内科を受診されて相談するのが良いと思います。
肋間神経痛なのか、内臓疾患由来の痛みなのか、必要により胸部単純レントゲン、心電図、血液検査が行われます。
水泡が出ている場合は帯状疱疹ですので皮膚科を受診して下さい。内科でも診療はできますが、神経痛に対しては鎮痛剤を処方して様子をみることになります。
■肋間神経痛の治療法は?
- 一般的には、消炎鎮痛剤や湿布を用いて経過をみます。
- 外傷による場合は、幅広いベルトで肋骨を固定します。
- 消炎鎮痛剤が効きにくい場合は、神経ブロックが有効です。局所麻酔薬を用いて、肋間神経を麻酔するものです。外科や麻酔科の先生がされます。
- ハリ治療、低周波治療、漢方薬が効く場合があります。
最後に...
肋間神経痛の原因が癌である可能性もあります。
鎮痛剤を内服している間は、痛みが楽であっても、長引く場合は受
診してくわしく調べましょう。
高齢になるにつれて脊椎の異常は増加します。
肋間神経痛にかかる可能性は高くなりますので、年齢のせいにしな
いように注意していただきたいものです。
